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​research

テーマ「原始の区画構造としての間欠泉、黄鉄鉱、脂肪酸、多孔質モデルの検証」

 生命が誕生する前の原始のRNAワールドでは、RNAが遺伝情報の保存および代謝の両方に使用されたといわれています。そのころのRNA複製は複製ミスなどによって出現する寄生体により崩壊することが予想されています。この寄生体は複製酵素や栄養素を使い切ることによって元のRNAの複製を阻害してしまい、元のRNAは淘汰されてしまいます。これまでの研究から、原始の自己複製システムが存在し、RNAが進化するためにはマイクロサイズの区画構造が必要であると判明しました。この区画の集団を作ることによって、ある区画内で寄生体が出現してもその他の区画では寄生体の淘汰を受けないので、元のRNAが即時に淘汰されてしまうことを防ぐことができます。

 しかしながら、これまでの研究ではこの区画構造としてリポソームやエマルションといった原始地球に存在していたのか明らかでないものを用いていました。では、一体どういったものが原始の地球で区画構造を提供していたのでしょうか?これまでに、間欠泉によって作られる霧、黄鉄鉱の表面、脂肪酸による小胞、多孔質の物質などが提唱されています。しかし、実際にこれらが区画として働いていたのかどうかは示されていません。そこで私はこれらの物質による区画化を行い、実際にこの区画の中で寄生体の出現を抑えながらRNAの複製が行えるのかどうかを検証しています。

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